症状 / 疾患

肩の疾患専門の診療科です。

板橋杉並肩関節センター『肩藩』では、肩関節疾患に対して、患者様の状態に応じた適切な治療を提供しています。
まずは保存治療を優先し、症状の改善を図ります。保存治療では、リハビリテーションを中心としたアプローチを行い、理学療法士と連携しながら運動療法や物理療法を実施します。これにより、痛みの軽減や関節機能の回復を促します。
保存治療で十分な効果が得られない場合や、症状が重篤な場合には、手術治療を検討します。手術は、患者様の生活の質を向上させることを目的に、最適な方法を選択し実施します。術後もリハビリテーションを継続し、機能回復を目指します。

下記より、肩関節疾患の原因や治療法をご確認いただけます。
患者様一人ひとりの状態に合わせた治療を提供し、健康な生活の維持をサポートいたします。

四十肩・五十肩(肩関節周囲炎)は、一言で言えば肩関節が固まる疾患です。固まっていることを拘縮と言いますが、拘縮していることで動きが悪く、痛みがでます。

原因

肩関節が拘縮を起こす原因は、関節の老化や炎症、物理的な損傷などによるものと考えられています。しかし、原因がはっきりしない場合が多く、その場合でも肩関節周囲炎もしくは四十肩・五十肩と呼びます。

症状

肩関節が固まっているため、手は挙がりませんし、手を背中に回すことができないことが多く、無理にそのような動きをしようとすると痛みが出ます。
夜間や起床時に二の腕や肩甲骨の間に痛みが出ることも多いです。

  • 肩の痛み(特に夜間痛が多い)
  • 肩の動きが悪くなり、腕が上がらない
  • 痛みのため、服の着脱や髪を結ぶ動作が困難になる
治療

固まった関節を柔らかく動かせるようにすることが治療となりますが、そのためには適切なリハビリテーションを行うことが必要です。リハビリテーションを進めるために、投薬、注射、物理療法(温熱、電気、音波、マッサージ)などを組み合わせて行っていきます。
明らかな原因がないため、基本的には解決可能な疾患といえます。

リハビリ

投薬

注射

物理療法

腱板断裂とは、肩関節を安定させる「腱板(けんばん)」と呼ばれる筋肉・腱の組織が部分的または完全に切れてしまう状態のことを指します。

原因

腱板は本来は強靭にできていますが、年齢とともに徐々に損傷され弱くなっていくことが多いです。そのため、ちょっとした肩関節への負担が原因で、あるいははっきりとした怪我がなくても切れてしまう(腱板断裂)ことがあります。

症状

痛み、力が入りにくい、動きが悪いといった症状が出現します。

  • 肩の痛み(特に夜間痛が特徴的)
  • 肩の動きの制限・力が入らない
  • 肩の引っかかり感や脱力感

症状に関する注意点
痛みの部位は、肩関節の周辺のみにとどまらず、二の腕や時には肘・手にまで達することあります。筋肉が切れてしまっているのであれば「手は挙がらない」と誤解されていることが多いのですが、腱板断裂の多くの場合は、残っている筋肉を使って手は挙がります。手は挙がるので「どうせ五十肩だろう」と思われていることが非常に多いです。
腱板断裂の修復には適した時期があり、時期を逸すると修復不能となることがあります。自己判断ではなく、きちんと診察を受けることが大切です。

治療

切れてしまった筋肉を修復するには、手術を行う必要があります。ただし多くの場合、修復しなくても症状を抑えられることが可能です。
まずは投薬、リハビリ、注射などを組み合わせて行い、腱板断裂があっても困らない肩関節を目標に治療を行います。
ただし、症状が継続してしまい、修復が必要になる場合には常盤台外科病院で手術を行うことも可能です。
修復には適した時期があります。時期を逸すると修復不能となることがあり、注意が必要です。

リハビリ

注射

手術

反復性肩関節脱臼とは、一度脱臼を経験した肩が、その後繰り返し脱臼しやすくなる状態のことを指します。

原因

転倒やスポーツなどでの怪我によって関節脱臼を起こすと、関節を安定させていた機構(関節唇・靭帯)が損傷し、再発しやすくなります。

症状

関節の安定性が損なわれているため、ちょっとしたことで脱臼するようになります。脱臼する不安感で日常生活動作が制限されることもあります。また、関節が安定しないために、痛みが出ることもあります。

  • 肩が簡単に外れる(軽い動作や寝返りで脱臼することも)
  • 肩が抜けるような不安感がある
  • 痛みや炎症が繰り返し発生する
治療

まずはリハビリを行い、肩関節周囲の筋力を向上させ、肩関節の安定化を図ります。軽度の場合は、リハビリによる筋力強化で改善が期待できます。
それでも脱臼を繰り返す、痛みが取れない場合には手術を検討します。

リハビリ

手術

肩関節に継続的に負荷が加わることで、関節の軟骨は削れて行きます。肩の関節軟骨がすり減り、骨同士が直接こすれ合うことで、痛みや可動域の制限を引き起こす疾患です。

原因

純粋にご年齢による変形のもの(一次性変形性肩関節症)と他の原因があるために変形するもの(二次性変形性肩関節症、多くは腱板断裂によるもの)があります。

症状

痛み、動きが悪い、力が入りにくいなどの症状があります。手が全く挙がらなくなってしまうこともあります。

  • 肩の痛み
  • 肩を動かしにくくなる(可動域の制限)
  • 腕を上げたり、後ろに回す動作が困難
  • 進行すると安静時にも痛みが続く
治療

まずは投薬、注射、リハビリ(物理療法)などで症状の緩和を図ります。
症状が継続してしまう場合には、手術(関節鏡視下手術や人工関節置換術)も検討しなくてはなりません。

リハビリ

投薬

注射

手術

肩の腱板(けんばん)にリン酸カルシウムという石灰(カルシウムの塊)が沈着し、炎症を引き起こす病気です。

原因

諸説ありますが、完全には解明されておりません。

症状

腱板に石灰が溜まっていることで、慢性的に痛みがある場合もあります。
石灰が自然と溶けることがあり、その際に非常に強い炎症を起こすため、激烈な痛み(寝ていられないほど)を生じることがあります。

  • 突然の強烈な肩の痛み(特に夜間)
  • 腕を動かせないほどの痛み
  • 肩を押さえると激痛が走る
  • 肩が腫れる・熱を持つことがある
治療

まずは投薬、注射などで痛みの軽減を図ります。
症状が継続してしまう場合には、手術を行うこともあります。

投薬

注射

手術

上腕骨近在端骨折

上腕骨の肩関節付近のことを上腕骨近位端と呼びます。転倒して手をついた時などに骨折を起こすことがあります。
骨の形態が複雑であり、骨折していてもレントゲンのみでははっきりわからないことも少なくありませんので、注意が必要です。

治療

保存療法(三角巾やアームスリングによる固定)と手術療法があります。
転位のない骨折は、保存的治療の適応で、三角布などで固定し、固定期間中も手指の腫れを軽減させるため、手指の運動を積極的に行います。
骨折を起こす前の肩関節の機能を獲得することを目的に手術的治療が選択されます。

肩関節脱臼

一般に関節脱臼をした場合には、自覚的にも脱臼したことはわかりますが、稀に強い痛みがなく放置してしまうこともあります。
脱臼して時間が経過すると、整復することが困難となってしまうことがあり注意が必要です。

治療

肩関節脱臼は受傷して早い時期であれば、ほぼ全ての場合、手術をせずに戻すことが可能です。
しかし、中には関節周囲の腱や靱帯、骨折などが戻ることを阻害してしまったり、受傷して時間が経つと癒着が原因で戻せないことがあります。この場合は、手術が必要となります。

鎖骨骨折

転倒し肩の側方から強い力が加わった時に受傷することが多いです。骨折の状況に応じて、治療法を検討する必要があります。

治療

治療は一般的には保存療法が選択されます。
しかし、骨折による骨のずれが激しい、皮膚から骨が飛び出ている、鎖骨の外側3分の1で骨折している鎖骨遠位端骨折など重症の場合は、手術を行うことになります。